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数分後ようやく混雑が終わり、他の店員は揚げ物を揚げにいったり弁当のおき直して、彼女は先程中断していた在庫整理をし始めた。
(あの人の事は店長に任せよう)と思考に至ってから黙々と作業することにした。
すると、棚の間から店長が事務室に戻っていくところを見るに無事彼が帰っていったのが伺えた。
でも妙なのが一つ、店長の片手にあの青年が注文した商品を持っていた。
疑問に思うけれど今は仕事中のため、それを脳の隅に追いやり目の前のことに励むことにした。
それからまた数十分経ち潤洲の勤務時間が終了し入れ違いに店長ともう一人のアルバイトと出て、バックヤードで一人は男性用のロッカーに行きそして彼女はカーテンが掛かっている奥へ行きコンビニの制服を脱いで女性用のロッカーにしまい化粧も目立つ部分は落としてから、荷物を纏めて出ていこうとしたときに表に出ていた店長が戻ってきていた。
どうやら、先程の青年はあまりにも体調が悪かったのでタクシーを拾って無理矢理送ったそうだ。
その時に商品の値段分のお金を渡してから息を絶え絶えにしてこう言ったそうだ。
「マンションに……住ん……でる……」
そこから先は何を言おうとしたのかすぐに分かった。
この近くにマンションと言ったら自転車で15分で行ける彼女が住んでる場所しかない。
高校の方はマンションから40分で行ける距離にある。
(今の私……スッピンに近いんだけど……)と懸念する表情を目の前にいる店長に向けたら彼は「大丈夫」と根拠のない言葉と断ることの出来ない強要に彼女はため息を吐くしかなかった。
そして、通学鞄と青年の商品、おつりを持ってマンションに向かうため自転車が置いてあるコンビニの裏手にある駐輪場に行きながら小さく文句を漏らした。
「なんでこんなことに……」
そう言いながら荷物を籠に乗せてからもう一度ため息吐いてから、鍵を外し跨がってペダルを強く踏み漕いだ。
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