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高津と付き合い始めて一年。そろそろ本当のことを言っても大丈夫そうだと、僕は胸を弾ませる。
本当の事を知れば、きっと高津は驚くだろう。それでも僕を受け入れてくれるはずだ。今日だって、苦手なお酒をこうして口にしてくれているのだから。
「お前は俺の理想の相手だ。こんな奴、他にはいないよ」
高津の顔が近づき、唇が重なり合う。柔らかい唇の感触を僕はゆっくりと味わった。
「ねぇ? 僕のこと、愛してる?」
「今日はどうしたんだ? そんなに甘えてきて」
高津が困ったような、それでいて嬉しそうな顔をした。
「今日で一年になるからさ。聞きたくなっただけだよ」
「……そりゃあー、愛してるよ」
高津は恥ずかしげに視線を泳がせる。感激に震えそうになるのを押さえ込み、僕は「本当に? どんな僕でも?」と微かに震える声で尋ねる。
「あぁ。本当だ」
しつこい奴だなーと言って眉を顰めながらも、頬は微かに緩んでいる。
「ありがとう。僕も愛してる。もう十年以上も前から」
訝しげな顔の高津を尻目に、僕はソファから立ち上がる。期待に震える手で棚から高校の卒業アルバムを取り出し、三年A組のページを開いた。この日の為に僕が実家から持ってきていた。
「なんで……それを……」
高津は驚いた顔で、僕の手元を凝視する。
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