第一話・枯れた花

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依頼主は女性だった。 電話の向こうで泣いているのか、洟をすする音が聞こえる。 声が震えている。 恐らくこのような事、探偵に依頼するような事が起きた事も初めてなら、探偵に電話などするのも初めてなのだろう。 「落ち着いてから、もう一度お電話頂いても構いませんよ」 瑞樹はやんわりと電話の向こうの女に声をかけた。 「い、いいえ、お願いします、ゆ、ゆっくりお話しさせて下さい、い、いいですか?」
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