愛しのパパ

3/9
前へ
/9ページ
次へ
 パパが死んでしまうと、ママはぬけがらというよりは、別のものに変わってしまったようだった。    私のことも家のこともほったらかして、研究所に寝泊りするようになった。  そしてやっと家に戻ってきたときには、若い、軽薄そうな男を連れていた。 「よろしく、みどりちゃん」    いやらしい、ねとっとした言い方であいさつされた。    ママは男にべったりで、男はすぐに私たちの家に住み着いた。    私は現実を受け入れることができなかった。  パパの書斎もそのままで、まだパパの息吹の残る家に、他の男が我が物顔でのさばりはじめたのだ。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加