2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
そんなこんなで、2週間後。私は知美とママの店に行った。
「いらっしゃーい!」
あのママの声が今にも聞こえてきそうだ。
ママは私にとっては象徴的な存在だった。なにものにもわずらわされず、誰からも動かされず、そして自信は、誰に対してもたいどをかえようとはしなかった。そう、あるがままなのよ。
本当なら、私も知美もこのような店にいる女じゃない。自分がどう生きていったらいいのか迷う時、どういうわけかママに会いたくなった。
「ちょっと、ちょっと、こないだあんたからもらった化粧水使ってるんだけど、お肌が改善されたのよ。見て見て、美肌効果抜群じゃない?」そう言ってチークで隠れた頬を見せてくる。
「化粧水あげたのは京香じゃなかったけ?」知美が私を見る。
「あら、そうだっけ? 年とるって怖いわ、記憶が飛んじゃったのかしら」
「お前が飛べよ」と知美が突っ込んだ。
知美のこういう言い方に、私は手を叩いて笑った。
「知美」ママが言った。「あんたからもらったスキンケアの商品でニキビが消えたの。ちょっとビックリしたわ」
「スキンケア商品は……珠江?」と、知美が私を見た。
「そうだった?もうこれだものね。ゴメンゴメンなさいね」と言いながらもママが脚を見せてきた。「どう?森高千里の脚に見えるでしょう?」
私と知美は手を叩いて笑った。そして私は言った。「ママ、私があげたのは? 覚えてる?」
「ジョリジョリ君でしょう。ちゃんと毎朝使ってるわよ」
知美が言った。「ママふるいんだもん。ブラピだとか森高千里とか、おかしくて笑えてくる」
「可愛い顔してあんたも言うわね」とママは変なポーズ、たぶんシェーをしながら言った。「私の青春そのもよ。そのへんは大目に見てください」
最初のコメントを投稿しよう!