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車の中の四人
スピードを上げ走らすグレアム
暗闇の道を無言で見るアンジー
真ん中の席に座り直した二人
「アンジーは知ってたの?」
助手席に両手をかけ話しかける
「何がだよ、マックス」
「フーちゃんのことだよ」
今度はサーニンが聞いた
沈黙が続く車内、そしてボソッと呟くアンジー
「あの時…エイダと一緒にいたのが彼女だってことはね」
「確かにあの時、友達がいたのは
覚えてるけど…」
少し考え込むマックス
「オレたち、フーちゃんのこと
何も知らないんだよな」
サーニンが少し考えて言う
「そんなの関係ないだろ!」
声を荒げて言うアンジー
「アンジーの言うとおり
フーちゃんはフーちゃんだよ」
隣を気にしながらもいつもと変わらず話すグレアム
煙草に火を点けるアンジー
「お前、吸いすぎだよ」
一斉に言われるが素知らぬ顔で
煙を吹かす
「彼女、見てたんだね
お前が必死で頑張ってる姿を…
最初に会ったときからずっと見続けてくれてるんだね」
グレアムの言葉に黙り込む
「お前泣いてんのか?」
サーニンが突っ込んで言う
「うるさいな!」
「照れてる、照れてる!」
ソッポを向くアンジー
ニヤニヤする三人
静かに走り続ける車
空には綺麗なお月さま
幸せな一日が穏やかに過ぎていく
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