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夕暮れ、車の前にあつまる人々
「じゃあ、帰るわね」
「今日は本当にありがとうございます」エイダが二人に会釈する
「気をつけてお帰りください」
改めて声をかけるエイダ
「運転気をつけて、パムを無事に
家に届けてよね」
ため口でレティシアに言う
「失礼ねアンジー、運転は上手いんだから、ちゃんと安全運転です
あなたたちこそ大丈夫なの?」
皮肉を込めて答える
「それなら大丈夫だよ、運転するのはグレアムだからね」
「なんだよマックス、俺の運転は
信用できないのか」
「当たり前だろ、お前まだ酒
残ってるだろ!」
サーニンが言う
「先に帰るわね
グレアム運転気をつけてね」
笑顔で言うパム
そして車に乗り込む二人
みんなに見送られ走りだした
「忘れ物ないわね?
気をつけて帰ってね」
八人乗りのワゴン車の前
「エイダも元気で、おじさんや彼にもよろしく言っといて」
「わかったわ」
そう答え、そして別れがたい顔で
オフィーリアを見るエイダ
「ねぇ、フーちゃん
いつでも遊びに来てね」
「うん、わかったわ」
笑顔で答えるオフィーリア
そしてみんなが車に乗り込んだ
走りだした車がみえなくなるまで
手を振り見送るエイダ
運転席に座るグレアム
助手席にはアンジー
真ん中の席はサーニンとマックス
一番後ろにはオフィーリア
なんだか寂しげな表情に見える
「フー姉さま]
アンジーの声に顔を上げる
「エイダと何かあった?」
「えっ、どうして…」
前を向いたままのアンジーを見た
夕暮れの陽に照らされた銀色の髪がキラキラと光っている
「なんかさ、フーちゃんらしく
なかったからね…」
そう言われ伏し目がちになり
「私らしくない…か、そうね」
「言いたいことあるなら全部言いなよ!」振り向き彼女を見る
しばらく黙ってアンジーを見つめるオフィーリア、そして話しだす
「エイダがねいつでも遊びに来てって言ったでしょ…でもね今までと同じようにはいかないなって」
「どうして?」
前に向き直し優しい口調で訊ねる
「だって、これからは彼女は新しい家庭を作っていくのよ
もちろん友達であることには
変わりはないんだけどね…」
複雑な表情のオフィーリア
「そんなこと言ったらエイダが
寂しがるよ、フーちゃんと本当の
姉妹だと思ってるんだから」
運転席のグレアムが言った
「姉妹かぁ…エイダのおとうさんをね“パパさん”って呼んでた頃があったのよね…もちろん今は呼ばないわよ」少し笑みが戻る
「へぇ~」
真ん中の席の二人が返事する
「ずいぶん前のことだけどね」
懐かしげに話しをする
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