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緑の木々をくぐり抜け古びた家の前にやって来たパムとグレアム
「ほら、フーちゃん
あそこに居てるよ」
家の前にある大きな木の下に佇む
オフィーリア
「フーちゃん」
「グレアム、パムもどうして?」
不思議そうに二人を見る
「それにここがよくわかったわね」少し笑みを浮かべ言った
「アンジーが教えてくれた」
真っ直ぐに彼女を見て言った
笑みを浮かべていたオフィーリアの顔が少し寂しげな表情に変わる
「ふふ、全部お見通し…か」
二人から目を反らし大きな木を
見上げるオフィーリア
「私ね、こうやって木の下で陽射しを浴びると元気になれるのよ
ほんと不思議!」
いつまでも木々を見上げている
「あの…フーちゃん
ごめんなさいね、アンジーが…」
そう言いかけたパムを遮り彼女を見たオフィーリア
「あんなの、いつものことだから
気にしないでください」
いつも通りの笑顔に戻っている
その様子にほっとするパム
隣に居るグレアムを見た
無言で自分の生まれた家をじっと
見つめている
「大丈夫?グレアム」
心配気に彼の顔を覗き込む
「大丈夫、何でもないから…」
いつもと変わらない様子で答えた
「ねぇ、グレアム
ここに立って何か感じる?」
目の前に建つ家を見ながら訊ねるオフィーリア
彼女の言葉に家を見るグレアム
「何かって言われても…ただ不思議な気持ちなんだ…確かにこの家で生まれて育ったんだけど、でも
今ては遥か彼方のことみたいで」
家を見つめたまま答える
「それって、今が幸せだからよ」
その言葉に彼女を見る
「心に受けた傷は忘れたようでも
心の奥深く残ってるのよ
だから不幸な時には傷が疼くの…
ても幸せだと傷の傷みも忘れてる
つまり
グレアムは今すごく幸せなのよ」
満面の笑みでいうオフィーリア
「幸せ…そうだね
確かにフーちゃんの言う通りだね
じゃあ、フーちゃんは幸せ?」
今度はグレアムが訊ねる
「私?もちろん幸せよ
昔も今も!」
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