がんばる私の体験記

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セクハラで訴えるぞ、くそおやじ。 喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、私は無理矢理に笑顔を取り繕った。 クライアントの無茶ぶりで、納期ギリギリの仕様変更。そんなことは茶飯事でも、連日の残業で疲れきった部下に労いの一言もかけられないのか。 「本日無事納品完了しましたので、うちのチームは明日まで全休にさせてもらいます」 もはや上長にお伺いを立てる余力もなく決定事項として言い切って、部下達に解散を伝えた。 「おはようございまーす」と爽やかに出勤してくる社員の群れを尻目に、「おつです……」とだけ言い残し、屍の様な顔色で帰って行く徹夜組。 ありがとう……と心の中で手を合わせ、私は大きく伸びをした。 ムカムカムカ。 いつもなら徹夜明けでも達成感で充実している筈なのに。 寝不足の目に朝日が沁みる。 最軽量モデルのブルーライトカット眼鏡がやけに重たい。 仕事が大好きで、脇目も降らず打ち込んできた。 男が多い業界で、女だからとナメられないように人の何倍も努力して、チームのリーダーを任せてもらってから、もっと仕事が面白くなった。
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