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素質のある者
「あなたは、素質のある選ばれた者です。この国を救うためお力を貸してもらえませんか」
ぼくは突拍子のないことを言われ驚いて何も声が出なかった。
その様子を見ていたスーツ姿の男は
「驚かれても無理はありません。まず、私たちは「救済人材育成課」の者です。」
「救済人材育成課っていわれても…」ぼくがつぶやくと。
「ご存じないでしょう。これは4年前ほどに国のある政策により極秘で作られた組織なんです。一般に公表していないので無理はありません。
あなたもお感じにのように、近年の本国は決して生活しやすい環境とはいえません。
そんな状況を脱却すために私たちの組織は作られました。
私たちは、国を立て直せる素質のある人を探すのが仕事なのです。そしてそれがあなたです。」
ぼくは状況が呑み込めなかった。
「だれかと間違えてるんじゃないですか?ぼくになんてそんな知識や力はありませんよ。
それに最近じゃ不健康な体ですし。それに、ぼくにはそんな時間はありません。」
ぼくは怖くなりドアに向って歩き出した。
「いいえ、あなたです。
確かに今のあなたには何にもありません。しかしあなたが協力をしていただければ必ず国を立て直すことに貢献できます。あなたはその素質があります。
あなたにしかできないんです。」
ぼくは立ち止まった。
あなたにしかできない。そんな言葉を言われたことはあっただろうか。
仕事でもいてもいなくても分からないような存在だ。そんなぼくが国のためにできることとは何だろうか。
ぼくは恐る恐る振り返った。
「ぼくにしかできないことっていったいなんですか。」
スーツ姿の男は
「ここからは機密事項となります。誰にもお話しないとお約束いただけますか。」
ぼくは、「や、約束します。」と小声で答え席にもどった。
スーツ姿の男はゆっくりと語りだした。
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