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やっと屋上のドア付近に辿り着いた時、
先に着いていた彼女はドアの取っ手を握って悪戦苦闘していた。
「――くん、ちょっと開けてくれない?
このドア、重くて私の力じゃ開かないの」
「この前までは普通に開けてたじゃないか」
「…。もうっ、空気読んでよねっ!
たまには男らしく開けてくれてもいいじゃない」
確かに屋上のドアは普通のドアより頑丈で重いが、意外と簡単に開けられる。
なぜ急にそんな気分になったのかは分からないけれど、
楽しそうに屋上に飛び出した彼女にとりあえずホッとした。
屋上に出た彼女は空を見上げて動きを止めている。
そのままずっと微動だにしない。
僕は不思議に思って駆け寄った。
「ど、どうしたんだ」
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