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「ただの夢だから、あんまり本気にしないでよ」
「えー、なんで。前、約束したじゃない。
『君が宇宙飛行士になって、私は 。』って」
「したのはしたけど…」
僕は少し口ごもった。
星の欠片にもならない程の夢を呟いてみたら、彼女が食いついて来ただけだ。
でもそれが実は嬉しくて、
その夢が叶う日を少しだけ望んだ事があるのは秘密にしておこう、とひとり思う。
「約束、破るんだ」
「破るとかじゃなくて…まだ、わからない」
そんな曖昧な僕に少しだけむっとした顔を見せた彼女だけど、
やっぱり直ぐに表情を明るくさせて、「まぁ、いいけどさぁ」と笑った。
「でも先に破っちゃうのは、たぶん私なんだよね」
つられて笑いかけて、ふと疑問を感じて視線を交わらせる。
「…それは、どういうこと?」
屋上のすぐ下の階の部屋に子供がいるのだろうか。
七夕の歌が聴こえた。
それから彼女は小さく呟く。
「お医者さんと家族しか知らないんだけどね…
君には言うよ。あのね…
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