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実は一ヶ月後、地球に星降る夜が訪れて、地球が滅亡するんだ」
「…その地球って」
言いかけて、やめた。
彼女はずっと微笑んだままだ。
僕はどうすればいいか分からなくて視線を泳がせた。
「君の夢、叶ったのが見たかったんだけどな。
まぁ…仕方ないよね」
「…」
小さく吐かれた諦めのため息が、長く鼓膜に残る。
それから、再びつぶやいた。
「でもね、どの道、いつかは誰でもその日が来るでしょ。
だからこれは、仕方ないんだよね」
彼女の瞳を見た。光っているように見えた。
消えそうに見えた。
次第に好きな食べ物が食べれなくなっていって、
好きな事ができなくなっていって、
それでも「好き」なものを見つけていく彼女。
『好きな事を精一杯してる時が、一番生きてるって思えるんだよね』
いつか、今日みたいに星を眺めた時、彼女はそう言った。
『だから今、ちゃんと存在してるんだなって思えてる』
星を眺めながら、そう言った。
『大丈夫。きっと、ずっと私はこうして生きてるから』
笑顔で、そう言った。
仕方ない、と初めて彼女が言ったのは、
信じたくない現実をやっと理解して、だけどそう思いたくなくて、
少しでも否定してくれる誰かの温もりを待っているのだろう。
そんなこと、言わなくても分かっている。
だから、言う前に、彼女を抱きしめた。
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