地球最期のastronaut

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それから、数年後。満月の夜。 僕は、空を見上げた。 無数もの流れ星が空を舞う、流星群を視界に映す。 太陽も地球もないこの世界で、僕は生きた。 星の欠片もない宇宙の下で、僕は過ごした。 照らされるものも無ければ照らすものもない月は、光を求めて旅に出る。 星座だって、ひとつの星を失えば名を無くして、片方を求めて流れていく。 だからそろそろ、君の元に行ってもいいんじゃないかと思うんだ。 君はきっと見ていてくれている。 少しくらい違ったって、構わない。 これから行く場所なら、どんな星だって、どんなものだって、二人で作れる。 だから、幸せだ。これから、僕の夢は叶う。 『僕は宇宙飛行士になって、君は…』 『私は、君とふたりで暮らす家で君を見守りながら、待ってる。 君の帰りと宇宙からの思い出話を待ちながらね…』 『そんな未来にしよう』 小指を絡めたあの日のように、僕は星空を見上げて微笑んだ。 「今から、行くよ」
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