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地球最期のastronaut
「ねぇ、星見に行こうよ」
新緑の若葉のようにみずみずしくて、
藍色の空に浮かぶ星のように輝き、
水色に澄み渡った夏の空を照らす太陽のような笑顔を見せた君が、
僕の手を引いた。
真っ白な病棟の小さな個室に閉じ込められた君の、
唯一の楽しみが屋上での天体観測。
その時の君は、いつもの何倍以上も晴れた笑顔を見せる。
彼女が太陽ならば、彼女の表情や言動で気分までもが一喜一憂する僕は、
彼女に照らされて姿を現す月だろうなと思う。
懐かしい思い出の中にしまわれているあの日、
僕は彼女にそう言ってみた。
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