1 あるアルファの甘言

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 どうやら、友達が告白されたことが嬉しいらしい。俺は悠衣とは違ってあまり告白なんてされないから、滅多にないイベントに舞い上がっているのだろう。  そしてあの男――三宮呂久さんが、見た目からしてアルファだったから断った、それも当たっていた。  男と女以外の第二の性であるアルファ、ベータ、オメガ。アルファは優秀で、ベータは平凡、オメガは劣っている存在だと言われているそれらの、俺たちはオメガだ。男女に関わらず妊娠出来て、三か月に一度発情期なんてものもある面倒臭い存在。  だが、俺は皆からベータだと思われているに違いない。  それは俺がアルファから自身を守るためのチョーカーをしていなかったり、フェロモンが薄かったり、可愛らしい容姿のオメガが多い中で男よりの、ベータっぽい見た目だったり、発情期でも休まなくても良いくらいそれが軽いものだったりするからだ。  だから、きっと彼も俺の事をベータだと思っているに違いない。俺は付き合うならベータだと決めているし、彼がアルファだと分かった時点で恋愛どうこうの話にはならないのだ。 「気になるんだ?」 「……そりゃ、告白なんて初めてされたから……」 「その人、優しそうな人?」 「あ、ああ」 「やっぱり。緋佐のタイプって、優しそうな雰囲気の人、だもんね」 「……俺、言った事あったか?」 「見てれば分かるよ。『この人優しそうだな』って思った人に、目奪われてるんだもの」 「そう、だったか」 「そうだよ」  悠衣に言われると、そうだったかもしれないと思ってきた。
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