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慌てて準備して飛び乗った、地元に向かう電車の中。
わたしは、急に冷静になっていく自分に戸惑っていた。
いつも、自分のことを最優先に考えてくれていた、恋人の変化。
やっと会えると思っていた夏休みに入ってからの、会えない時間。
言葉にしてくれない、もどかしさ。
考え出したらキリがない程の、不安や不満、戸惑いが、頭の中を支配していく。
“わたし、どうしたいんだろう?
なっちゃんの顔見て、誤解を解いたら…。
わたしは……。”
そして、出た言葉が、
「正直、なっちゃんの考えてることが分かんない。ゴメン…。暫く、連絡するの止めるね。」
だった。
なっちゃんのお母さんへの挨拶もそこそこに家をあとにして、足早に駅へ向かう。
「ハァハァハァ……。」
息を切らせ到着した駅のベンチに、静かに腰を下ろした。
ハンドタオルで首元の汗を拭う。
「ハァハァ…んぐ…うぅ……。(泣)」
わたしは、知らないうちに泣いていた。
汗と、ポロポロと零れる涙が、タオルを濡らしていく。
「好き…なのに…。…んぐ……わたし…何やってるんだろ?(泣)」
両手に広げたタオルで顔を覆い俯きながら、声にならない声で呟いた。
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