空白の時間 ~華澄side~

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なっちゃんの家を訪ねた日から、もう1ヶ月半以上が経過していた。 あの日たくさん泣いてから、不思議と涙は出ていない。 バイトしたり、大学の友達と遊んだり、レポートに取り組んだり。 たまには、ボランティアに参加したりもして。 それなりに普通に生活していた。 でも、右手の指輪だけは外せなかった。 外したくなかった。 「いつから?」 「何が?」 「何が?…じゃないでしょ。田川さん…絶対華澄に気があるよね?」 「そうかな?」 「はぁ……。分かってるくせに。」 「えっ?うん…なんとなくはね…。」 バイトを終え、作っておいたカレーとサラダの夕食中。 梓は、容赦なく突っ込んでくる。 梓には、なっちゃんとのことを、その都度話しているので、今の状況は把握済み。 「そんなに悪い印象ではなかったけどな…。礼儀正しいし、清潔感があってさ。」 「そう…?」 「うん。モテるでしょ、田川さん?」 「知らない。学部違うし…。」 そう言いながら、左手の指で、右手の指輪を撫でた。
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