父のお土産

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あの一件はきっと私が "残酷な子供" だったから、 だけではなく 子供の好きなものを知ろうとしなかった 父にもきっと非があるのだと 私は時間の許す限り子供と同じテレビを観たり、 もちろんテレビだけでなく 嗜好、思考共に 同じ思いや価値観を共有することが出来た、 そう自負している。 そんなある日、 当時幼稚園に通っていた娘と一緒に テレビを観ていると 何とそのロボットの番組が 数10年ぶりにリバイバルで放送されていた。 ほんの少しほろ苦い思いも感じながら 「パパが子供の頃にもやってたんだよ」 私がそう言うと娘は笑いながら 「これ、おもしろいね」 この一言で 私は少し胸のつかえが取れた気がした。 「そんなにおもしろかったら、今度そのロボット、買ってきてあげようか?」 私が笑いながら娘にそう尋ねると 「いらない!だってカッコ悪いもん」 そうか!そうだったのか だからあの日私は、きっと・・・ いつの時代も 子供とは少々残酷な生き物である。 多忙を言い訳にしがちな世の父親たちは 特にそんな子供の気持ちを理解するのに 苦労するらしい。 思うに父はきっと そんな思い出たちを幾つも上書きすることで 決して 薄っぺらい思い出として片付けたのではなく 我が子からつれなくされることへの 切なさを消し去っていたのだろう。 それに気付けたことでようやく 私自身もまた親の気持ちが少しだけ 理解できたのかも知れない。 とかく子供と言うのは 無垢な残酷さを秘めていることに間違いはなく そこに決して悪意は込められていない、 と言うことを知った時にようやく 少しだけ大人に近づけるのかも知れない。
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