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真夜中、俺はある大病院に降り立った。
眠っている女の様子を見る。
十九年。その時間をここで止めて
命を消す。
灯が弱いため、苦労することもない。
すぐにでも狩れそうな命。
簡単。
手応えのない仕事にはなるが、それで構わない。
時には楽もしたい。
まだ新人の域だが、そろそろ良いだろう。
そんな気持ちで、候補から選んだ。
女はただ眠っているだけのように見えるが、昏睡状態だ。
リストに載った時点で死が決定している。
それがいつか、決めるのは俺だ。
相手のことを知ったうえで命を奪う。
ただ奪うだけでは通り魔と同じだ。
状況確認を済ませ、意識の中に潜り込む。
相手と直接話せないときの方法。
前回それをしたときは、事故に遭った男が相手だった。
完全に事故だが、自殺志願者。
男は既に絶望していた。
この女も同じようなものだ。
余計なことは考えずに潜り込んだ。
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