緑との邂逅

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緑との邂逅

 人の魂ほど、神聖で情熱的で強力な動力源は無い。高度に発達した科学技術と神の奇跡に導かれたこの不思議な世界で、それは揺るぎない事実であり、ボクの研究の要でもあった。  この街は、生気が無い。街は灼熱と乾燥の白い砂漠に囲まれている。あらゆる意味で貧しく、朽ち果てて土に還るのを待ちわびる人ばかりが集まり、空気は常に淀んでいた。そのはずれにボクの小さな研究所はひっそりと佇んでいる。  ボクは、この街が嫌いだ。  救いも、何もないからだ。  それは、ある日のこと。 「今日も寄付はありませんでした」  助手の女は、抑揚の無い無機質な音質で声を紡ぐ。  ボクの研究、その目標であり夢であるのは、この街を覆う虚無の世界を緑に変えることだ。緑、すなわち植物は人々にとって恵みの象徴である。
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