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魂は、神聖で情熱的で強力で、さらに、その人物の人となり、生き様、祈り、信念が宿るものだ。
ボクには分かってしまった。神殿で修行を重ねたこの身だからこそ、はっきりと理解した。
あれは、親父の魂だ。
その色、光、オーラ、全てがそうだと語っている。
では、親父、本当にあの時は死にかけていたのか。でも魂の輝きは健全だった。あれで死ぬなんてありえない。
答えは助手が持っていた。
「以前、所長がくださった人工魂は、魂受取手配の際にお父上へお渡ししていました。ですが、おそらくもう」
足が震える。酒のせいではない。天変地異が起きて、突然地面が崩れ落ちたかのように、酷い浮遊感が襲う。目の前がチカチカする。ボクが縋ってきた白い憧憬と、ずっと蓋をしてきた黒い真実が激しく点滅を繰り返す。
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