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「交換? 一口くれるとかじゃなくて?」
ああ、わたしは間違えてしまった。わたしの食べかけなんていらないに決まってるじゃない。嫌ならいいけど、とかろうじて返事をする。
「嫌とかじゃなくて、俺、結構食べちゃったから。それでもいいなら、どうぞ」
純ちゃんはスプーンを置いて、わたしにいちごパフェを寄越した。こちらからは減っていないように見えたけど、純ちゃん側はしっかりとなくなっていた。あれ? 別に普通に食べれてたんじゃん。もう何が何だかわからなくなりながら、自分の桃パフェを純ちゃんに差し出す。
「食べ方一緒だ」
純ちゃんは、わたしの食べかけのパフェを見て笑った。わたしも手前側だけ食べてたの。意外な共通点に笑ったものの、自分の滑稽さに悲しくなって、俯いてしまう。せっかくのこの時間を楽しむんだ、と奮い立たせようとしても、パフェを食べ終わったら純ちゃんとはお別れなのだと思うと急に食欲も湧かなくなってしまった。
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