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純ちゃんは困惑した顔をしながら、わたしのほうを見て、にっこりと笑う。
「玲ちゃんは笑ってるほうがいいよ。すごくかわいい」
まだちょっと濡れていたからか、純ちゃんの前髪は上に持ち上がったままだった。いつもだったら、すごくときめいていたのだと思うけど、その広すぎるおでこがわたしのツボに入ってしまった。
「はは、ダメ。その髪で言われると面白すぎて無理」
「ちょっと、玲ちゃんひどくない? そもそもいつもの俺ってどんなの?」
いじけたように口を尖らせた純ちゃんは前髪を触りながら訊いてきた。全然直ってないのが笑えるのと同時に、愛おしさがこみ上げてきた。かけてもらったジャケットを畳んで、純ちゃんに近づく。髪の毛を手ぐしで整えて、いつもの髪型に戻してあげる。
「いつもの純ちゃんは、すっごくかっこよくて、みんなに優しくて。あと、自信があるっていうか、余裕がある感じで」
純ちゃんはちょっと考え込んでから、わたしの手を掴んだ。甘えたような顔で見上げられ、きゅうんと胸が疼く。
「カッコ悪い俺は嫌い?」
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