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嫌いなわけない。むしろ、こんなにかわいい純ちゃんは他の誰にも見せたくないと独占欲が湧き上がった。それなのに、すごく悪いタイミングで、紅茶をトレーに乗せた店員さんがやってきて、わたしは逃げるように席に戻った。完全に空気がリセットされてしまった。
熱い紅茶を冷ましながらゆっくりと口をつける。純ちゃんはぼんやりとしながらアイスを口に運んでいる。しまいにはスプーンをぐりぐりと回して、食べるのをやめてしまった。このまま帰るのは嫌だな。わたしはテーブルの下で拳を握った。
「わたし、純ちゃんの特別になりたいの」
純ちゃんが顔を上げてわたしのことを見た。唇を湿らせて、もう一度ちゃんと伝える。
「純ちゃんの特別な女の子になりたいの。みんなと一緒じゃ嫌なの」
「……俺がおでこを見せた女の子は玲ちゃんだけだよ」
なにやら見当違いの返答に吹き出してしまう。さっき見た広すぎるおでこがチラつく。そういうことじゃなくて、と言うと、純ちゃんは不思議そうな顔をする。
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