傘とパフェ

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「雨だから、パフェ食べに行かない?」  目が合った瞬間、これは神様がくれたチャンスだと思った。本当は『傘忘れちゃったから、駅まで入れて』って言うつもりだったのに、(じゅん)ちゃんのそばに行って、いざ声をかけようと思ったら頭の中が真っ白になってしまった。  純ちゃんはモテる。背が高くて、柔らかそうな髪に綺麗な二重。そこらの女の子より整った顔立ちをしている。純ちゃんは誰にでも優しい。いつもにこにこと話を聞いてくれて、わたしもあの優しそうな笑顔にやられちゃったの。でも、仲良くなれたかなと思うと、するっと(かわ)されたりして、正直何考えてるのかわからない。  でも、ここで逃げたらいつもと変わらないと思った。それに、教室には彼とわたしのふたりきり。おまけに純ちゃんの腕を掴んでしまったわたしは、さっきの言葉を引っ込めることもできないのだ。 「ね、行かない? 今日どうしても行きたいの」 「俺じゃなくても……」  純ちゃんは少し困った顔で教室を見渡してから、わたしの目を覗き込む。
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