2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
勝手知ったる様子で長い廊下を抜けると、奥の部屋の前でぴたり足をとめる。
障子に映った影を見て、部屋の中にいた子供は文机から顔をあげた。
「来ちゃいました」
声がかけられる。
「入ればよい」
障子が開くと、白い装束がかすかに発光している薄青い髪のひとが立っていた。
「……この間からたいして日が空いていないぞ。……暇だな、お前は」
呆れたように言われてもそのひとは嬉しそうにうなずくばかりだ。
「雨が降ったら来れますからね。地面に水が広がって道になるんです。わたしは水の上しか歩いてこられませんから」
「今日は何の用だ?」
「ともに遊びませんか?」
嬉しそうに問われては断れない。
子供は渋々腰を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!