みずのかみさま

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そのひとはにこにこして、「さあ、もう少し遊んでいきましょう」と手を伸ばす。  その手を子供は握りしめた。  もっと冷たいのかと思っていたが、しっとりとして心地よい手だった。 「雨がずっと止まなければお前とずっと遊べるのにな」  子供が呟く。 「また降りますよ。いつでも来れますよ」 「うん」 「ずっと遊びましょうね」 「そうだな」 「大きくなったらあなたは遊ばなくなるでしょうけど」 「……だろうな」 「そのときはあなたの子供と遊ばせてください」 「それもいいかもしれないな……」 「約束ですよ」  子供とそのひとは指きりをした。 「約束だ」  雨は降り続き、翌朝まで止むことはなかった。              おわり
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