目線の先にいる人は

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『さっきは八つ当たりしちゃって、ごめんね(。-人-。) 』  先を越された。 『こっちこそ、ごめん』 『俺は朱莉のこと、ブスだと思ったことないよ』  朱莉から、『THANK YOU!』とパンダが叫んでいるスタンプが返って来た。  どうせ、社交辞令ぐらいにしか受け取ってないんだろうな。  今日、朱莉の肌はニキビが治りかけになっていた。  すっかり治ってしまったら、朱莉は今よりずっと綺麗になるだろう。  そうしたら、朱莉がきれいなことがバレてしまう。  あの、朱莉の上司の、仕事ができるかっこいい男にも、朱莉が綺麗なことがバレてしまう。  なんて、朱莉を傷つけてしまったことよりも、支配欲の方が勝ってしまう自分にうんざりする。  あの化粧台の前で、朱莉は毎日ニキビのできた顔を見る。  その時、朱莉はどんな顔をしていたのだろうか。  どんな気持ちだったのだろうか。
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