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「朱莉ちゃんの弟さん?」
「ここまで送っていただいてありがとうございました。あとは俺が送るんで大丈夫です」
有無を言わさず言って、「じゃあ……」と言って男が歩き出すのを見届けるまで、パーカーを抑える手を緩めなかった。
すっかり男の姿が見えなくなってから、朱莉がぷはっと息を吸い込んでパーカーから出てきた。
「ちょっと!私のこと殺す気!?上条さんもせっかく送ってきてくれたのに」
「付き合うの?」
「はい?」
「あの男と付き合うの?」
「何バカなこと……」
「やめろよ」
朱莉はハッとなった。
壮志郎が泣きそうな顔をしている。
こんな顔をした壮志郎を見るのは、長い付き合いで初めてだった。
「やめろよ。それ以上綺麗になるな」
「何言って……」
朱莉がそう言いかけたとき、壮志郎の腕が朱莉の首の後ろに回った。
壮志郎な鼻先がくっつきそうなくらい近くにある。
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