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「綺麗になったよ、朱莉。他の誰にも見せたくない」
唇がふと近づいて、すぐに離れた。
壮志郎は顔を隠して後ろを向いた。
「ごめん。彼氏でもないのに、こんなこと」
「じゃあ、彼氏になってくれる?」
朱莉はいたずらっぽい笑みを浮かべている。
仕事を始めたばかりの頃の、疲れた顔じゃない。
自信があって、前向きで、綺麗だ。
「本気?」
「冗談だと思ってる?何年も前にもらったぬいぐるみを後生大事にしてる女が、そんな冗談言う?」
首を振った。
そして、一歩朱莉に近づいた。
「俺、頑張るから」
「何を?」
「朱莉がどんどん綺麗になっても大丈夫なように」
再び壮志郎の鼻先が朱莉の鼻先に近づいた。
そして、今度こそ唇が触れた。
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