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「壮志郎~!カラオケ行こうよぉ~!」
大学での講義が終わり、教室を出ようとしたところに、壮志郎の肩を叩いたのは、同じ学部の純玲だった。
茶色の髪にパーマをかけて、バッチリメイクをした純の肌は、朱莉と違って一点の曇りもない。
午後の講義はさっきので最後だったが、カラオケに行く気分でもない。
「あー、俺無理。明日提出の課題、全然手つけてない。今度こそマジで単位落とす」
「あー、こらこら、壮志郎くん」
隣にいた冬弥が肘でつつく。
「バカ野郎っ。純玲ちゃんが誘ってくれてるのに、断るやつがあるかっ。てか、いつもいつもおまえばっかり純玲ちゃんに誘われやがって!悔しい!俺もついていく!だから絶対に断るな!」
これは毎度毎度冬弥と壮志郎の間で繰り返される問答だ。
冬弥に何度言われても、乗り気でない壮志郎は度々断ってしまう。
「だったら、おまえひとりで行けよ」
ふたりの応酬が聞こえてかどうか、純玲が「あっ」と手を挙げた。
「そうだ。じゃあさ、ファミレスで勉強会やろうよ」
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