目線の先にいる人は

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目線の先にいる人は

『今日、見た。紙袋やぶけてるところ』  LINEを送ったあと、送信時刻を見た。  21時半。  既読はなかなかつかない。  朱莉の部屋の電気はまだついていなかった。  30分ほどして、返信が来た。 『見られちゃったか。かっこ悪いな。笑』 『もう、家?』 『まだ仕事中(-_-;)』 『今日一緒にいた人、誰?』 『会社の先輩だよ!』 『かっこいい人だね』 『かっこいいし、仕事できる人だよ!迷惑かけまくってる。笑』  そこまで見て、スマホをベッドにぼすっと投げた。  自分もベッドにボスッと埋まる。 「俺、だせえ。彼氏か」  彼氏じゃない。  朱莉に、あの男は誰だとか、あんな男を好きになるな、とかいう権利はない。  それでも思ってしまう。  俺を好きになってくれ。他の奴を好きにならないでくれ。
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