目線の先にいる人は

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 朱莉の顔が目の前にある。  ニキビは少し赤みがひいてきている。  肌も、前よりもきめ細かくなっている。  朱莉が吐いた息が唇にあたった。 「わぁぁぁぁぁ!」  朱莉はどさくさに紛れてパンダをつかみ取り、壮志郎に背を向けた。 「朱莉」  朱莉は背を向けたまま、こっちを向かない。 「朱莉。こっち向いて」 「やだ」 「なんで」 「ブスだから」  こっちを向いた朱莉は、顔の前にパンダのぬいぐるみを置いて顔を隠している。 「気にしてるの?ニキビ」  そう言うと、朱莉はパンダを壮志郎に投げつけた。  朱莉は顔を赤くして、泣きそうな顔になっている。 「壮志郎が言ったんだよ」
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