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雨粒が道を叩いている。土砂降りの中を一人の男が歩いている。
枯れている。ずっと……。雨が降っているのに枯れている。
歩き続けても先が見えない。ずっと歩き続けても。
止まない雨。どれだけ待っても止まない雨。泥だらけの道を長靴も履かずに歩き続ける。
青い空の下でも雨が降る。輝く虹の下でも雨が降る。
雨が降っても枯れている。彼の心は枯れている。
彼はずっと枯れていた。彼はずっと泣いていた。
彼の心は雨模様。天気が変わる事は無い。
時間では止まない雨。どれだけ待っても止まない雨。
だから彼は歩き続けた。雨を止ませるには、進むしかないと知っているから。
晴れやかな日を求めて、彼は土砂降りの中を進み続ける。
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