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「…事実か嘘かの問題ではないんです。
すでに噂にされた時点でアウトなんです。
デザイン料はお支払いできません。
むしろ、すでに施工が完了してしまった分、
修正費用をいただきたいくらいなんですから。」
依頼主の広報部長はそう言うと、
勢いよく事務所のドアを閉めた。
…つっかえされた資料には、
俺がデザインした遊園地のメインキャラクター。
依頼主の注文通り。
目を閉じ、耳を塞ぎ、口元を覆った、
三匹のユーモラスな猿の姿。
俺が動物園を数件まわって写真を撮り、
構図を何度も描き直しをしてようやく採用されたもの。
だがそれは、遊園地のプレオープンの
報道が配信された途端に悪夢に変わった。
『これ、あの人の作品と似てね?』
『元ネタ見たけど遊園地のキャラそっくり、パクり確定』
なぜそうなったのか。
何がいけなかったのか。
俺が作ったキャラクターは、
俺とは何の関係もない地方の美大生の作品と
まったく同じものであると指摘された。
コメント欄は瞬く間に誹謗中傷で埋め尽くされ、
俺が個人に開いていたSNSとホームページも攻撃された。
どれもが批判のコメントで溢れかえり、
中には俺の過去作までもが盗作だと言い出す者まで出てきた。
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