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目に走る、まるで何かに引っ掻かれたような痛み。
いや、目だけじゃない。
耳が、耳が熱い。
喉も焼けるように痛い。
(なあに、じきに痛くなくなるさ。)
せせら笑うような猿の声。
…その時、俺は気がつく。
そうあの猿は一切口を動かしていなかった。
口を縫われた状態で猿は話していた。
だが、今はそれどころじゃない。
…寒い。体が凍えるほどに寒い。
(なあに、いつの時代だって同じような仲間はいるさ。
困った時は一心同体だぜ?)
床に倒れ、意識が沈みゆく中、
俺は確かに目の前に佇む毛深い猿の存在を感じていた…
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