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〖その1-おもて〗犬猿の仲の犬と馬。
「明後日の合同演習の書類は出来ているか」
魔術省の部署に一人の騎士が入って来る。
その途端、私の周りの女の事務官が落ち着きがなくなった。
『あぁ…、そう言えば明後日でしたね、、。これが終わったらやりますから、もうちょっと待ってて下さい』
「・・・・・待つとは、どのくらいだ?」
怪訝そうに眉間に皺を寄せた男の顔は、一気に血圧が上がったのか真っ赤だ。
そんな顔でも周りの女は、頬を真っ赤にさせていた。
一人心でぼやく。
"意味が分からん。これの何処がいいんだか、、、"
目の前の男の名は、ハチェット・ヘストン。28歳。もういい加減結婚しないといけない時期にきた独身。
そして、顔がすこぶる良い?・・・らしい。私は好みではないが。
そして文武両道。特に武の方は、国内随一。(いや、先月近隣国の腕自慢を集めた大会で優勝したから、もう近隣国随一かもしれない。)
そんな独身男に浮いた話や恋人はいない。
もう至れり尽くせりなオプション付きの独身男である。
婚約の打診が連日連夜と来るが、本人にまだその気がないため周りの人間が説得に難航中。
いつしかこのオプション付けまくりな騎士様の事を、どんな絶世の美女がすり寄っても落ちない事からこう呼ばれた。
――――鉄壁の騎士様と。
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