〖その1-おもて〗犬猿の仲の犬と馬。

4/9

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
*** 「確かに受け取った」 昨日の晩、机に置いておいた書類の礼をわざわざ言いに来たガチ公。 回りの女達が騒がしいので、速攻お礼を言ったら帰って欲しい。 だがこの男、わざわざお礼を言いに来たのではなかった。 「若干、無理がある所に印をつけた。すぐにやり直してくれ」 その言葉にプチっと血管が切れ、敬語と礼儀を忘れてしまう。 『はぁ?!魔術の展開に合わせてよ!脳筋な騎士様は体力だけでいいから良いけど、魔術師は結構精神統一や体力の持続が大変なんだよ?!』 私の言葉に向こうも血管が何本か切れ、繕った言葉が無くなった。 「大変なのはこっちも同じだ!貴殿等魔術師は後方から術式を飛ばすが、こっちは前線に出て命が危ないんだ!そんな俺達に術式に合わせろだと?!戦場だったら、待ってる間にこっちは叩き切られる!」 確かに魔術師は後方支援。前面に出るのは騎士様達だ。 だが、しかしだ。こっちも大がかりな術式。実力のある私はいいが他の魔術師がついてこれない。足並みが揃わなければ、意味のない術式とも言える。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加