〖その4-おもて〗犬の主導権を持った馬。

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そんな事を考えてた私の耳に、「生意気な目つきまでそっくりなガキだな」という声が聞こえた。 それを聞いた周りから、クスクスと笑いがあがる。 マイルズが「ちょっと君!」と傍にいた女の事務官を窘めた。 『、、、(ハァ~、、、)』 大人げないとは思っていたが、赤ちゃんに対しても大人げなかったか……と、呆れた。この中には、所帯を持って子供がいる人も居るのに情けない。 未だ「バブ、バブ」と文句を言ってるガチ公。 スカッとさせないと、この怒りは収まらないだろう。 仕方ない、代弁してやるか。 『先輩方、覚えておいた方がいいですよ。赤ちゃんはまだ言葉が分かりませんが、言葉が分からないからこそこのつぶらな瞳でちゃんと見てますからね。人の悪意はきっちり判断し伝わってますので、悪しからず』 そう言ってガチ公を抱っこすると、私の言葉を裏付けるかのように先輩達に向けて、思いっきり頬を膨らませて「ブゥゥゥゥーーーっ!」と唾が出る勢いで軽蔑の声を上げた。 マイルズが悪気もなく呟く。 「やっぱ、そっくりだな」
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