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すぐにバシッといい音が鳴った。
私の足元にその音の元凶の一部が飛んで来る。
どうやら頬をこっぴどく扇子で殴られたようだ。
痛さを想像して思わず自分の頬を撫でる。自分が殴られたのではないのにだ。
声の主を確かめるようにそっと覗くとやっぱりなお方が私同様頬を撫でていた。その向こうには、女が立ち去る後姿が見えた。
ドレスの雰囲気からして、侍女ではなく結構高位の爵位持ちのお嬢様と判断。
王城に勤めても居ない人間が何故ここに?という素朴な疑問が湧いたが、あぁ…そう言えば今日は王女のお茶会だったなと思い出した。
毎月一日は王女のお茶会。その呼ばれた中の一人だと理解した。
もう一度ガチ公が立ってた場所を見ると、もう奴は居なかった。
仕事も早いが切り替えも早いガチ公であった、、、。
仕方なく、時間を調整するように遅く歩いて騎士団の事務室に向かう。
騎士団の事務室について扉をノックして中に入ると、数人の騎士が事務をしているのが見えた。だが、お目当ての奴がいない。
何処かで追い抜かしたかと思ってたら、奥の団長室から出て来た。
慌ててガチ公に声を掛ける。
『ヘストン副団長、書類が出来たので持ってきました・・・・よぉぉっ!』
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