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お父さんの家には、お父さんのお母さん、つまりおばあさんになる人がいた。おじいさんとお父さんは一緒に出掛けているようだった。
おばあさんはよく来たわねとにこにこ顔で言った。私はちょっと反応に困った。
私は改めて「挨拶が遅れてすみません」と言った。「偉いわね」と言われたけど、もう高校生だし当たり前だと思った。
「お父さんの部屋に行ってもいいですか?」
と聞くと、「あら、あら。いいわよ」と嬉しそうに答える。どうしておばあさんはこんなに嬉しそうなんだろうと思った。
「ちょっと弘美」
とお母さんが止めたけど、私の好奇心は抑えられなかった。
お父さんの部屋は二階の奥にあった。部屋の中を覗いてみると、見事にCDだらけだった。それにピアノも置いてある。後はパソコンが置いてある机。お父さんの性格らしくきちんと片付いていた。
「弘美、いい加減にしなさい」
とお母さんが追いかけて来た。お父さんの部屋の前まで来て、お母さんは止まった。
「中入らないの?」
「本人がいないのに、勝手に入っちゃだめでしょ」
「別にいいじゃん。お父さん怒ったりしないって」
「そういう問題じゃない」
お母さんはそう言って中に入るのを躊躇している。変なの。しばらくすると部屋の中をちらっと見てきた。結局覗いてるじゃんと思った。そしてお母さんは突然泣き出した。ちょっと、どうしたの?
そう思ったら、ちょうどそのタイミングでお父さんが二階に上ってきた。いつの間に帰って来たのか気付かなかった。
「何やってんだ?」
とお父さんは聞いたけど、お母さんが泣いているのを見て戸惑っていた。
お母さんは、初めてお父さんの部屋を見て感動したみたい。そんなもんなのかなと思いながら、私は「下行ってるね」とお父さんの部屋を出ておばあさんのいるリビングに戻った。二人きりにしてあげたいと思ったのだ。
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