父とわたし

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わたしは普通の家庭に産まれ、工業高校を卒業し、地元の電器店に就職した。そして妻と22歳で結婚した。結婚した翌年には待望の男の子、更に2年あけて女の子をもうけ、何ら普通と変わりない家庭を築き上げた。 父と異なったのは、わたしが子育てにあまり熱心ではなかったことだろうか。わたしが地元の電器店に就職した時、日本は高度経済成長期を迎えんとし、非常に仕事が忙しかった。特にわたしは工業高校で電気・機械・溶接・ガス・金属等を学んで、それにちなんだ資格も多数保有していたためか、あちらこちらから仕事を請け負うことが出来た。まあ、そのおかげで妻子を養うことが出来たのだから仕方ないのかもしれない。 わたしは父から教わった野球が本当に好きだ。子どもの頃は地元の少年団なるものに入って野球に勤しんでいたし、大人になってからも住んでいる地区の野球大会があれば喜んで参加した。自分の息子にも野球をしてほしくて、まだ赤ん坊の頃に野球ボールを触らせていた。おかげさまで息子も立派な野球少年に育った。 父は孫の野球をよく見に来てくれた。休みの日はうちに来て、孫に野球を教えてくれた。ボールの捕り方・投げ方・バッティングなど様々だ。
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