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香ばしい香りを鼻で辿っていくと、人混みの隙間を香りの糸が縫うみたいに驚くほどアッサリと目的地へ辿り着いた。
そこは旧い日本の純喫茶のようで、小さなモーテルのロビーカフェのようで。入口はカウボーイ映画に出てきそうな木の扉が揺れてるし、色味はなんだかアジアンテイストな気もするし。
新しいんだか古いんだか、どこの国のものなんだか、サッパリ世界観のわからない、不可思議なカフェだった。
「わぁ……! ぜってー美味いやつ!」
僕は不可思議な見た目のカフェのそのカッコ良さに、味もきっと間違いなく美味いだろうと何を根拠にか確信していて。いっそう濃くなったコーヒーの香りをめいっぱい吸い込みながら戸を押した。
ーカランカラン
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