夢幻の街の喫茶店

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もう何度目かわからないこのカフェで、僕はすっかり自室のソファのように寛いでタバコに火を付けた。 「ふーー。あー………んまっ 」 だんだんと、わかってきたことがある。 ここはどうやら夢の中らしい。 この夢の中では時々違う出来事もあるが、変わらないこともあった。 例えば、いつも橋から始まることとか、あの駅の列車は『夢幻鉄道』という電車であることとか、このコーヒーがめちゃくちゃ美味しいこととか、常連のパイプを吸ってるおじいちゃんがめちゃくちゃかっこいい紳士なこととか。 「あんな風にかっけぇおじいちゃんになりたいなぁ」 それから、随分と前に辞めたはずのタバコをこうも当たり前に吸ってるあたり、この夢の僕は『過去の記憶』に作られているようだ。
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