夢幻の街の喫茶店

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「んぁー……今日も筆が遅いなぁ、このポンコツめっ」 カツカツと筆の進まぬ画面をタップしながら、吸い込んだ煙を悪態と共にぶわっと吐き出した。 もくり、視界を遮られる。 「はぁーーー………………… 」 吐き出したため息がどっしりと深く重くて、目の前の煙はアッサリと吹き飛ばされていった。 ぶらん、ぶらん。脱力した自分の脚を振り子に揺らして、窓の外の緑で目を癒す。 (にしても、そういえばここはどこなんだろうか? ) 困ったことに、この夢の街も人々も、僕は身に覚えがない。 そして更に困ったことに、僕はわりと頭が弱い。 ここは夢の中らしい、という事実として認識するのみで、まっっったく深く考えていなかったのだ。 だって、別に何も起きないし、困らないし、つーかめちゃくちゃコーヒー美味しいし。 が、よくよくと考えてもみれば、脳に記憶されていないものを夢に見るのは難しいんじゃないんだろうか? こうも通いつめていればもう僕の地元のような気持ちにもなるのだが、ここは現実の僕の記憶にあった世界ではないことは明らかだ。
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