チート、なのか?

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「ルイ・サトー!一緒に帰ろう!」  今日は木曜日。ノー部活デー。  部活がないから、一緒に帰ることができるね! 「いいよ!ツェルド・ジュンヴェイテくん!」  昨日、生徒会メンバーが天に向かって拳を突き出してから、もっと団結力が上がった気がする。  なんか、人間界じゃないこの魔界でも、一生暮らせる気がするなぁ。 「『ジュンヴェイテ』は、いらないって言ってんじゃん。クソ親父と一緒にすんな、って言ってんでしょ!」 「ごめんごめん、ツェルドくん」 「分かったんならいいよ」 「ティルも帰ろう!」 「うん!ルイくん、ツェルドくん!」  だって、こんなに仲間がいるんだもんね。  美人な、クティルヴィア・ジョーノーヴ。  王子の、ツェルド・ジュンヴェイテ。  それ以外にもたくさん! 「仲良いな、お前たち」  あ、カル・エヘントさん!  それにレネア・リアートさんも!  こんなに優しくて厳しい先輩もいるし! 「あれ?ワミトル・エーナ先輩は?」 「ワミは保健室。階段を転げ落ちたんだよ」  ああ、なるほど。  ドジなエーナ先輩らしい。 「まあ、エーナは頑丈だから、打撲ぐらいで済むと思うがな」  階段を転げ落ちて、打撲のみ、かぁ。頑丈だな。 「帰るぞ。早く。俺たち、取り残されてるぞ」  あ、確かに。  ……ドンッ。  えっ?  なんか、背中が押されたんだけど。  カルさんがニヤニヤしてる。  押したの、カルさんなんじゃ? 「カルル!押さないでよ!」 「ごめん、ごめん。早く歩け」  はーい。すみません。 「そういえば」 「ん?どうした?」 「カルさんって、寮に入ってませんでした?」 「ん?ああ。今日は、レネアの家に遊びに行こうと思ってな」 「寮で着替えてから来い、って言ったんだがな」 「いいじゃん、いいじゃん」  早く行きたかったのかな? 「ううん、違う。着替えるの、面倒くさくてさ」  おー。おお。  ……変な反応になっちゃったよ。 「ということで、一緒に帰るから」 「そうなの⁉︎」  あら、ティルが驚いてる。 「私も、ルイくんの部屋に遊びに行こうと思ってて!皆、行き先、一緒じゃないですか!」  ティルが皆の顔を見回す。  あ、確かに! 「まあでも、私は1回、家に帰りますけど」 「うんうん。着替えにね」  ティルが家に帰っている間に、僕たちも着替えるんだよね。 「ということは、3時は食堂が大賑わいだな。姉さんはちゃんと準備してくれてるだろうけど」 「レネアの姉さんの作る菓子か。美味しいよな。なのに何故、弟の料理の腕が絶望的なんだか」 「おい。カル」  おっ!  レネアさんの、殺気怒気光線(ビーム)が炸裂!  ―レネアさん、料理の腕が絶望的なんだ……。なんか意外……。
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