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確かに、人間界の授業で勉強の内容が面白いって思ったことは少なかったし、この感情もこの世界では珍しいのかも。
「どこが、面白かったのさ」
ツェルドくんが3個目のブッセを手に取りながら口を開く。
食べるの速いなぁ。
「社会かな。地理。この国っていろんなところがあるんだなぁ、って思って」
「ああ、なるほどな」
「なるほどね」
「そうだよねぇ。改めて思うけど、この国、広いよねー」
秀才トリオがうんうん、とうなずいてくれる。
カルさんは、そうか?って首をひねってるけど。
でも、本当に広いんだよね。
ここ― フィヌレース国の首都ジールを含むフィンテート地方やアリアンテ地方、エイリンス地方などの東の地方をまとめて、トージェ。ラージュさんたちの出身地、サヒア地方や西の都、スレンゼを含むガイトテータ地方などの西の地方をまとめてサージェ。この世界にある土地のほとんどを占めるのがフィヌレースだから言語も多様。が、しかし、僕は日本の方言に聞こえるわけですねー。何故か。
「私、1回、ロデエス地方に行ってみたいんですよね」
「ロデエス地方?」
「あれ?ルイくん、知らない?割と有名な観光地だよ」
「そうなの?」
「風車が街の至る所に建てられてるんだ。昔から風の強い地方らしいんだ。おかげで風を利用する分野が発展して、風力発電が1番最初に行われた場所、って有名になったとか」
さすが、レネアさん。博識。
「その風景も素晴らしいんだってさ。行ったことないからよく分かんねぇけど」
「へえー。すごいねー」
「ぼくの母さんは昔、ロデエス地方に住んでたよ」
「王妃様が?ロデエス出身だったの?」
ティルが目を丸くしている。
「ううん。母さんの出身はジールだよ。大学の間だけ貸してもらえる領地をロデエス地方にしてたから」
貸してもらえる領地?
何それ⁉︎なんか凄そう!
「その後、領地奪りで学園側に勝って母さんの領地にしてたらしいし」
「「領地奪り?」」
あれ?ティルも知らないのかな?
「領地奪りは、学園、しかも大学や大学院の裏の伝統。基本的には学園から借りた領地は学園に返さないといけないのに、稀に、その領地が気に入りすぎて領地を賭けて学園に決闘を挑む奴がいるんだってさ。毎年、1人は」
ニヤッと笑いながら「面白い奴だろ?」と説明してくれるカルさん。この場合の「面白い」って、どう考えても「興味深い」って意味だよな。恐っ。
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