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「ねぇ最近、伊藤さんキレイになってない?」
「私もそう思った。雰囲気変わったよね?
メイクもだけど服とか立ち振舞いとかさ」
「伊藤さんの肌キレイだよね。何のケアしているのかな?」
今まで私のことを見向きもしなかった……いや。
むしろ地味とか、真面目しか取り柄ないとか散々
陰口を言って馬鹿にしていた女性社員達は、
少しずつ私を認めるようになっていた。
それだけではない。
最近では、男性社員の目も変わっていた。
「伊藤さん。最近キレイになったね?
もともとキレイな顔立ちをしていたけど、さらに
キレイになったんじゃない?」
そう言ってきたのは、社内でも1.2を争う
イケメンと名高い沢村さんだった。
爽やかな笑顔で私に言ってきた。
海外営業部で英語もペラペラ。しかも優秀で
エリート路線まっしぐらの方だ。
ただ私は、好みじゃないのよね……顔が。中の上ぐらい?
なんか鼻につくようなキザっぽいところもあるし
そんな彼が、女性社員なら思わず
ときめくようなことを言ってきた。
「あ、ありがとうございます」
「もしかして彼氏とか出来たの?」
「あ、いえ……ちょっと美容に頑張ってみようと
思いまして……」
言えない。声優に……コスプレイベントに
参加するためだけに頑張ったこと
私がオタクだと言うことは……。
「そうなんだ。いいと思うよ?
キレイになる女性は、素敵だからね。
そうだ……今夜時間とか空いてる?」
「いえ……今夜は、予定がありまして」
今夜は、楽しみにしている『夢ノ宮学園』の
ゲスト声優の動画配信がある日だ。
早く帰ってスタンバイしたい。
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