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在原業平は、高安姫がしゃもじから直接ご飯を食べているところを目撃してしまった。
業平は、高安姫のアパートにお泊りの予定だったが、そのガサツさに、一気に醒めた。
高安姫が、台所から出てきた。
「シチュー、もうすぐ出来るから。ビールでも飲んで、待っててね」
業平は、タバコを買いに行くと言って、アパートを出た。
そのまま近鉄高安駅に向かい、河内国分・名張方面の準急に乗った。
準急の中で高安姫に電話をかけた。
「悪ぃ。今日、大学の先輩と飲みに行く約束やったの、忘れてたんや。すごい世話になった人なんで、断られへん。今度、絶対に泊まりに行くから、なっ」
電話を切り、女とラインしていると、白いものが左の視界に入った。
窓を見た。高安姫が、準急と並走していた。
正確には、アパートから首を延ばした「高安姫の頭」が準急と一緒に走っているのだった。
「うああああ」
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